2008年4月12日土曜日

デジタル写真

今日引き出しを掃除していたら2年前の学会の前夜ににあわてて作った作品アルバム(絵葉書大のビニール・ファイルに写真が入っているだけのもの)が出てきました。それで何と言っても写真の中の作品がすごく昔のものに感じられたのにびっくり。2005年末のものが主だったのですが。

昨今、(というより、最近「今世」という言葉が頭から離れないのですが、)ビデオや写真を撮って電話やメールで送信したりブログに載せたりして、即時に複数の人と通信・情報交換ができる時代、紙に印画された写真や従来のウェブサイトはどういった目的があるのだろうかと考えています。ウェブを更新しなければいけないと思う反面、身近で日々変化のあるブログの方が楽しく、面倒臭いウェブは割愛しちゃおうなんて悪魔のささやきまで聞こえてきます。

即時性のないウェブや印刷物はどういう位置付けが必要かというと、私の場合、一つにはあまり変わらない情報(メールアドレス、電話番号、データ、過去の情報等)、もう一つには「お土産」的要素が考えられます。前者は単純明快に必要な情報が簡単に得られるだけのものですが、それだけではあまりにもそっけないのでどこまで飾ったらいいのかが問題。後者は付加価値というのですか、大げさにいえば「あ、うれしい」とか「得した」と思っていただけるおまけの部分です。

当初私の作品(商品)にはその作品の写真を表に、お洗濯等の取扱い情報を裏に、名刺大の紙にプリントして糸のサンプルと一緒に差し上げていました。次第にロゴ入りのカードに統一をし、このカードを名刺にも使うようになってからは繊維の種類のみ手書きで、残りはすべてプリントしています。(通常はカードとサンプル糸を経糸と同じもので付けていますが、これは昨年のマーケットのためのスペシャル。)
ところがインクジェットのインクは水に濡れると滲むのと、南太平洋のオゾンホールの真下のNelsonでは1年弱で変色してきます。それで、どこかで素敵な名刺を印刷してもらおうかとか、Moo.comのミニカードの方がまだ個人的でいいかななどと半年以上悩んでいます。今度作品展をするとしたら、ミニカー度の表に作品の写真、裏にThanksとウェブのurlなんて入れて名刺の代わりに持って行ってただけるようにしたいなあ。それから、Red Art Galleryからはカシミア専用の小さい手提げ月の紙袋を作るよう依頼されたまま、こちらも一年近く保留。

もうひとつ面白のは、去年参加した大きな展覧会、Re:fineとCulturally Routed、のキュレーターのお二人からに展覧会が終わって数カ月たってから太った封筒をいただきました。中身は参加お礼のお手紙と見学者感想ノートのコピー、それにプロの写真家が撮った展覧会の写真が載っているCDRom。

テクノロジーを上手に使うと洒落たことが以外と安くできるんですよね。面白い時代に生まれたなあと思いながら、しんどいなあと思うことも度々。皆さんはテクノロジーをどうお使いですか?

2008年4月4日金曜日

Win Currie

デザイン教室の週末はWin Currieの家に泊めてもらいました。Winは2001年に初めて織の教室に行った際に泊めてもらって以来の友人。彼女の繊細な織はもとから大好きだったのですが、今回は夜は彼女の作品を見せてもらったり、話を聞いたりと、夜遅くまで話し込んでしまいました。彼女は織歴(??)40年以上の大ベテランで、ギルド活動も活発に参加されています。

彼女はここ数年はタペストリーにも手を広げてきて、グループでは抽象画の作品も作っているのですが、Winが好きなのは繊細な写実的な作品で、特にニュージーランドに見られる水鳥を扱ったもの。絵の部分はほぼ絵葉書大です。

でもWinのトレードマークは透けるように薄いメリノ・アルパカ・シルクのスカーフやショールです。どれも軽くて軟らかくてとてもエレガントなんですが、つくりも洗いもしっかりしていて、緩んだり解けたりということの全くない優れものです。特に彼女のBlack & Goldはちょっと有名で、NelsonやBlenheimの小都市より首都Wellingtonでかなりの人気だそうです。

次は新しい、多色、細めのユニセックスのスカーフ。Winは絹糸を何十色も持ってるので、二人でコーンを並べて、二時間近く経糸のコンビネーションを研究していたら、突然彼女、「あ、その二種類、とてもいいから、もう何も動かしちゃダメ。実験終わり。触るべからず。」と発言。経糸は3枚分づつかけるというので、「次の6枚、綺麗に出来上がったら半分は私のお手柄ね。」と念を押す私。

ふわふわ・よれよれのスカーフも作るWin。これは2月のギルドの集まりの時、主人も私も息を飲んで見とれてしまったもの。ずっとWinのスカーフが欲しいと思っていたのですが、ここまで好みの似ているウィーバーの作品となると100%ピンと来るものを待ち構えていたら、これだったんです。標準の幅のそんなに長くない作品です。

ところが一つだけ問題がありました。Winは繊細で長いフリンジでも有名で、このスカーフのフリンジもとてもエレガント。ところがフリンジを何本か縒って太く短くすると、スカーフがユニセックスになって主人と共用できるんです。悩んでしまうところなんですが、ご本人も面白がって承諾済み。おそらく今年の冬にフリンジだけ変えることになりそうです。

Win Currie コンタクト・アドレス

デザイン教室

3月15・16日にデザイン教室に行ってまいりました。面白いことをさせられるんです。直接スカーフやショールには繋がらないことばかりなんですが。日本語でうまく説明できるかな。

会場はMarlboroughのガールスカウトの本部。去年のハロウィーンの飾りもそのまま。

先生はオークランドで織をしながらデザインを教えるAlison Frances。今回は「風景」を題材に、各自前もって写真、絵、コメントなどを集めるところから始まりました。

第一日目は半日くらい身近なものをデッサン。午後は各自集めた資料から一枚絵あるいは写真を選び、それをいろいろなメディア(水彩絵具、アクリル、クレヨン、鉛筆・色鉛筆、染料、コラージュ、他)を使って再現するのですが、忠実に「絵」を再現するのではなく、材質の個性を生かして、題材の本質(??)を再現するのだそうです。あまり深く考えず、さっさと沢山実験するのが課題。

二日目は前日沢山作った実験材料を、今度は少し時間をかけて、切ったり張ったり、重ねたり取り除いたり、更に上から色や形を足していって、題材を表現するのが課題。ただ忠実に元の「絵」を作り上げるのではなく、あくまでも題材の本質をメディアの性質を最大限利用して多様に表現するのだそうです。やれやれ。

40代から70代まで14人、幼稚園に帰った気分で、「無心」を目指して「作品」作りに挑戦。数人絵も描く人達がいたようですが、「絵は全くダメ」というグループの方が楽しんでいたかもしれません。最後に一人づつ説明発表をしました。

私にとって、結果を想定しないで無心になってなにかをするというのは至難の業なんですが、とにかく先生を信用して、いろいろ試してみたら、思いがけずとても楽しい経験ができただけでなく、いつもと全く違った雰囲気の、とても即興的な「作品」(??)ができました。

私の題材はちょっと説明しにくいのですが、「心の中からみる外の風景」です。

これは、切り絵、張り絵、クレヨン、水彩絵具、ペン、染料、薄紙、糊、それにくっついてしまった新聞紙などが五重六重に重なっていて、更に薄紙を所々破って剝しました。

さて、フエルトやタペストリーを作る人たちにはこれは参考になっても、スカーフやショールにはどうやって使うのかまだ決めていませんが、期せずして出来上がった「作品」なので、現在のテレビの前の床に置いて毎日眺めています。

もう一枚は心情の変化を時間を追って表現したものです。これもインド・インクをいろいろな硬さの紙で作った筆で模様をいろいろ作り、これを千切ってA2の画用紙に張って、さらに明るい部分、暗い部分を水彩、クレヨン、染料、ペン、毛糸などを使って陰影(??)をつけたのですが、A2のままですとどうしても時間を追う感じが出なかったのでさらに不均等な太さに切って、長方形にしました。


「無心」って、後のことも考えず他人の目も気にせず、何とも容易・単純・素直に、その瞬間を満喫させてくれるんだなと思いました。

織は経糸を計算して、縮絨を計算して、組織を計画して、計算をしてから経糸を通してと、準備が大切ですから、特に計画の好きな私には「思いがけない」要素の入り込む隙間が全くありません。でも用意周到なだけな織を続けたら、あまり訴えるもののない、綺麗なだけなきれ(布)しか作れないのでは、なんていう話を仲間としながら、どうしたら解放感から生まれるアイディアを織に取り入れられるかなんて、各々考えながら手を動かしていたんだと思います。

だから次の課題は、一連の幼稚園の展覧会みたいな資料をどう生かすか、ということです。

2008年4月3日木曜日

やれやれ

南の大学都市Dunedinにテキスタイルの学会に行ってまいりました。なんていうとすごい話に聞こえますが、この小さな学会は4年前から半ば冷やかしに、半ばお勉強しに傍聴に行っているんです。月曜の夜に帰ってきて以来風邪気味だったので、軽く家事をする程度で仕事は怠けていたのですが、今朝はものすごい頭痛に目がさめ、目はかすんで見え、呼吸困難に近い大風邪になってしまいました。ということで、本来今日はちょっといろいろ楽しいことをしようなんてたくらんでいたのですが、頭痛薬を飲んで、布団で読書かなあ。

そうそう、今日で50になりました。横浜の両親も77と80ですが、年齢相応に元気に暮らしています。旦那様も元気です。妹の家族も弟の家族も達者です。よって、よい誕生日です。皆さん、ありがとう。