Sunday, June 4, 2006

「きれはし」という言葉

子供の頃この言葉が好きでした。「きれ」は布のことだと思い込み、「きれはし」は即ち「布の端」、耳周辺だと信じていました。私は小学校に上がる直前まで一人っ子だったので、母に随分沢山服を縫ってもらい、その都度お余りをもらってお人形や熊さんにそれを巻きつけたり、結びつけたり、既製の服に縛り付けたりして、針を使わせてもらえなくても「妹弟達」におそろいを着せて遊びました。その頃は「きれ」は母の縫い物のため、「きれはし」は私の宝物だったのです。

ところが本当は「切れ端」だったんですね。この言葉は大人になっても会話ではよく使いましたが、書いたのは(少なくともコンピューターに入力して変換したのは)先週「切れ端・糸くず・独り言」と題を決めた時が初めてでした。なんてへんてこな変換だろうと思い、早速重たい広辞苑を広げ老眼鏡をかけ調べてみたらやはり「切れ」でした。

手織りの布は用途、材料、織、打ち込み、仕上げ洗いによって差はあるものの、いわゆる「本職」の方が織ったものでない限り、機械で織った布より解れ易いものが多く、ゆえに手織りを切ったり縫ったりする場合、ジグザグか、できればロックミシンできちんと始末をし、なるべく曲線の少ないパターンを使います。私が始めて自分の手織りに鋏を入れた時は深呼吸をして目をつぶり、それから薄目を開けて、えいやあと切ったのを覚えています。これは母に頼んで妹にスカートをあつらえてもらおうと思って織った生地でしたが、仕上げ洗いが気に入らなかったので、機のベンチのお座布団カバーにしました。いざ切ってみるとかなりしっかりしていて、折り返しもしないブランケット・ステッチだけで5年たった今でも解れないで私に敷かれています。つい先日残りで新しい機の為にもう一つ薄手のお座布団を作りました。

手織りを始めた頃は、作る作品を決め、寸法を決め、縮絨率等から必要な経糸の長さを逆算していったのですが、最近は経糸は短い時で整経台で最長の8m、長い時はミルで22mと決め、作品を織った残りで「きれ」を作っています。ベストの前身頃、既製のシャツに付けるポケットや肘パッチ、クッション・カバーと、大きさも用途もまちまちですが、先日この手の「きれはし」をまとめてみたら思ったより沢山貯まっていたので、その内また鋏を握り締め、腹を決め、えいやあと切ることになりそうです。

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