2015年8月17日月曜日

身に着けるものでないもの

通常壁掛けなどの飾り物は作らないのですが、2年ほど前お願いされてやっと一枚作りました。飾り物は身に着けるものより織の平行・直角がいかに平行・直角でないかはっきり見えてしまうのでとても気を使い、上下の袋縫いも何度かやり直してみましたが、この辺が私の限度です。

縦糸は2/20と2/60の綿を交互に、緯糸は2/20の綿より少し細めの絹三色、密度は80EPI の綾です。柄の部分が横43cm、縦109㎝です。
これが一番色を正確に見せている写真ですが、緯糸のピンク、ピーチ、オレンジによりほんの少し赤く見えるえたり、暗い部分、明るい部分ができます。
後ろから太陽がさすと多少隙間が見えるのですが、2/20の綿が思ったより膨らんだのと密度の高さのせいで頭で想像していたよりレース感が出ませんでした。
昨日たまたま太陽が当たっている部分と多少影になっている部分を一枚に捉えました。
カンカン照りの室内で見える3Dの部分、絹の輝き。
人口光だと絹の輝きがよりよく見えます。今日梱包して明日発送します。

2015年8月2日日曜日

Four-End Twill in Two Blocks (4枚綜絖綾織・2ブロック)

今朝母とスカイプした時8枚綜絖で4枚綜絖の綾を2ブロック組み合わせる話をしました。理論がわかると簡単に作れる組織で、経糸緯糸ともに一色で織れるので是非お試しください。

まず4枚綜絖の綾。西洋では2/2が基本ですが、これは常時4枚中隣り合った2枚の綜絖を上げて織ります。経糸緯糸の太さが同じだと両面経糸緯糸の色がほぼ同量現れます。
1/3の綾は4枚中1枚だけ上げるので、緯糸の色(黒)が3倍多く現れます。
3/1はその反対ですので経糸の色(白)が多く現れます。
お気付きかと思いますが、一枚の布で片面が1/3の綾でしたら反対側は3/1です。こういった不均等の綾は裏表で色が反対に現れ、スカーフなど「一枚で二度おいしい」物が作れます。

一枚の布の中で縦に色を変えたい場合は綜絖の上げ方を変えればいいので、テーブル機だと実に簡単です。ついでに通し、綾の方向も変えましょう。
ここまでは4枚綜絖の綾一つのお話でした。次に8枚綜絖を4枚綜絖・2ブロックに分け、一枚の布に二つの綾を縦に共存させましょう。二つの綾をはっきり区別するために1/3と3/1を合わせるのが基本で、経糸色と緯糸色の部分を作るわけですが、この綾二つの2ブロックの組織をtwo-faced twillとも呼びます。

実に簡単な話で、8枚の綜絖の1~4枚目で一つの綾、5~8枚目でもう一つの綾を作ります。(今日は綾織の話をしているのでここでは綾と呼んでいますが、綜絖を縦割りにして複数の独立した組織を作る際、各々の独立した組織をブロックと呼びます。)やさしい通しで例えば以下のような例。
なんて言うことないでしょう。赤線が綾(またはブロック)の境界です。
柄の方向、幅など一律である必要はありません。
ちょっと面白いので、一番下を使ってみましょう。まず1~4枚目で1/3の綾、5~8枚目で3/1の綾を作る例。赤線の上下で綾の方向を変えてみました。
綾の色を変えてみるとこうなります。
ついでに縦にも色を変えてみましょうか。
あ、ちょっと面白い。

因みに次は10年以上前に織った、幅の違うストライプのスカーフです。主人が好きで一番よく使うスカーフですが、密度高く織ったので今でも形が崩れていません。でも間違えだらけなんですよ。
最後は同じ経糸から織った、16枚綜絖で4枚綜絖・4ブロックの二点です。三年前にクリスマスプレゼント柄を作りました。