2014年11月15日土曜日

ドラフト入門 3. 種類

英語・スウェーデン語の織の本で見かける数種の表現法をお見せします。
私のソフトでできるのは北米式とでも言いましょうか。Interweaveの本もすべてこの方式です。綜絖の上げ方が上から下に記入されているので、機の上に現れる布には柄が逆さまに出てきます。
スウェーデンの本に使われてるドラフトの賢いところは、ドラフト上で柄を表している部分が機の上に現れる布と同じように見えるところです。アマチュアの世界では日本には北欧で織りを習われた先生方がかなりがおられるようで、日本の出版物ではこれが主流だと母に聞いています。踏順を下から上に読んでいくわけですが、慣れてしまえば読みやすく、使 い易い方式です。ドラフト・ソフトによって、スウェーデン式も出せるものもあります。

以前は出版物にも手書きのドラフトが多数掲載されていました。使われている記号がOだったりXだったり|だったり、ただ数字が並んでいたりといろいろです。
編物の本も同様ですが英語の本が織の組織を言葉で表現も、何度読んでも全く頓珍漢で、結局郵便切手大のサンプルをじーっと見つめて分析なんていうこともあります。図解が上手く沢山使われている日本の編み物・洋裁・手芸の本が海外で爆発的な人気なのも当然ですよね。言葉が分からなくても一目瞭然。スウェーデンの織の本も細かい注意書きが分からないのが気にならなければ然りです。

ところで2004年以来古いヨーロッパの文献を中心に、アメリカ式ドラフトにして掲載しているサイトをご存知ですか?アリゾナ大学のRalph Griswald教授と、コンピューター・エンジニアのKris Brulandが別々の場所で違う目的で始めたサイトを、Griswald教授が亡くなった後Krisがまとめたものです。今では世界中のボランティアが参加してドラフトやレース編みの柄の保存を目指しています。

ドラフト入門 2.解説

もっと簡潔にドラフトを説明したものがネット上どこかに存在するはずですが、とりあえずご説明いたします。

4枚綜絖で、平織を織る場合、(もちろん2枚だけ使って織ることもできるわけですが)、たとえば下記のように織ることができます。共通して経糸は赤、緯糸は緑を使いました。

足踏機(Floor loom又はfoot loom)用のドラフト 
足踏機の場合、Tie-up planと呼ばれる、四つの構成要素からなるドラフトを使います。

Aは綜絖通し、経糸の通し方です。一般的に機の手前、織り手にいちばん近い綜絖枠(shaftあるいはharness)から綜絖枠1、次が2、更に3、4とし、ドラフトでは最下段から綜絖枠1、2、3、最上段が綜絖枠4です。このドラフトでは布の右端から一本目の糸を綜絖枠4、二本目を3、三本目を2、四本目を1の綜絖(heddle)に通します。

Bはタイアップ(tie-up)、踏板(treadle)と綜絖枠の関係を表します。縦に一番左(内側)の行が踏板1、次が2、更に3、4を示しますが、実際機の一番左の踏板を1としなくてはいけないわけではありません。踏板を歩くといって、左右の足で交互に踏むのが体に良いとされていますので、機の中央にある踏板二本を1と2と名付けて織られると良いでしょう。又、機によって選ばれた綜絖枠が上がる機と下がる機がありますが、私の機は上がりますので、このドラフトでは踏板1を踏むと綜絖枠1と3が上がります。

Cは踏順(treadling)、タイアップと同じく左(内側)から踏板1、2、3、4を示し、通常上から織ります。このドラフトでは踏板2、踏板1、と順に踏んでいきます。

Dは組織図、A, B, Cによって布の組織が決まり、その結果作られる布の組織、経糸と緯糸の関係を表しています。組織図の最上段を見ますと、踏板2によって綜絖枠2と4が上がり、この二枚の綜絖枠に通されている経糸、(右から一本目、三本目等々)は上がり、その部分は赤い経糸、これ以外の綜絖枠、1と3に通されている経糸、(右から二本目、四本目等々)は下がったままなので、緑の緯糸が見みえます。布の裏は反対の色が見えます。

卓上機(Table loom)用のドラフト
卓上機は綜絖枠を直接持ち上げますから、Dの踏順(正確に言うと持ち上げ順)に各段で持ち上げる綜絖枠が記されています。Lift planと呼ばれるドラフトです。Dの左(内側)から綜絖枠1、次が2、更に3、4ですので、このドラフトでは最初(最上)の段では綜絖枠2と4を上げます。C組織図の最上段を見ますと、綜絖枠2と4に通されている経糸、(右から一本目、三本目等々)は上がり、その部分 は赤い経糸、これ以外の綜絖枠、1と3に通されている経糸、(右から二本目、四本目等々)は下がったままなので、緑の緯糸が見みえます。

はい、深呼吸。

綾(Twill) ドラフト
ここまでご理解いただけたら、次の綾(twill)のドラフトも読んでいただけるかと思いますが、いかがですか?

ドラフト入門 1.背景

2011年に書いたポスト4件を見直して再投稿しています。80過ぎて織を教え始めた母と、わざわざ来てくださる皆さんのために書き始めたのですが、私は日本語の織用語は知らないし、英語の織の本もまともに読まないので、全くおかしな日本語です。間違い等ご指摘・ご教示ください。

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織のドラフト(draft)というのは、織の設計図です。英語圏では割合最近までデザイナー・織手・著者・先生が好き勝手に図解していました。インターネットの発達・格安航空券などにより、織の世界でアマチュア・アート・クラフト作家のレベルでまで急速に国際交流が進み、ドラフト及び織に関するボキャブラリーの統一が自然発生的に進んできました。(ボキャブラリーについてはいまだ企業とアマチュア・小規模の作家の間、英米間、地域間で多少違いがあります。)

私は95年頃から織の情報収集を始めたのでこれ以降のことしか知らないのですが、その間以下を経験しました。

1)手織りをする女性たちがキルト、刺繍愛好者などとともにインターネット上で会話を始め、1995年には既にMajordomoでアメリカ、カナダ、イギリ ス、スコットランド、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、及び英語圏外も含めて200名近い(もっと?)参加者が毎日織りについての情報交換をしていました。インターネット上の会話は一般的にMicrosoft Windows 95の出現を機に、アメリカ以外の英語圏でも米語化に拍車が掛かり、織の会話もネット上絶対多数のアメリカ人に合わせて訳さないと話が通じないという場面もあり、自然米語化が進んだという記憶があります。ただし、 いまだにアメリカ内でも完璧に統一されているわけではないようです。

2)1990年代以来、特にアメリカ・カナダで、コンピュータ制御の家庭用の機が普及し始めるにつれ、コンピューターでドラフトを作るのが流行り始めました。ドラフトを作るソフトはいろいろありますが、異なるプログラム間でドラフトを交換出来るように共通語のWIFというファイル形態がいち早く導入され、ほとんどのソフトは独自のファイルとWIFが使えます。ちなみに2000年あたりから自家用ジャガードも出回っているようで、これがどう影響するのでしょう。

3)1980~90年代アメリカでいまだに織の本の出版を続けているコロラド州のInterweave社が絶版になった織の本を復刻したり、スウェーデンの本の英語版を出版したりと出版の世界も織の米語化が進みました。ただ、これは90年代が最盛期だったようで、Interweaveは最近は織の本はあまり出さないだけでなく、自社のものも絶版が増えています。織の自費出版は以前からかなりあったようですが、コンピュータ・インターネットの発達により出版は固より宣伝販売も著者ができますし、その本もデジタル・ダウンロードが増加、瞬時に手に入るのも嬉しい、絶版となった本をデジタル化して載せるウェブサイトが増えているのもありがたい、そして最近はヨーロッパの織の本の情報も即入ってくるのも感謝感激です。

では、具体的にドラフトを見ていきましょう。

8枚綜絖 ドラフト 応用編

スクリーンできちんと柄の見える色を選ぶと布としては魅力が欠けますが、お許しください。 切り貼りもゆらゆらも、通し方だけでなく上げ方でも、両方でもできますのでお試しください。

切り貼り
切り
張り
ゆらゆら 6種
ブロック・ウィーヴ 5種 
次のはちょっと見るととてもダサいのですが、組み換え、繰り返しなどでいろいろ遊べます。

2014年11月14日金曜日

8枚綜絖 ドラフト

次は綜絖8枚を4枚x2組と考えるブロック・ウィーブ。

英語圏では手機の基本は4枚綜絖という見方が少なくとも90年代末まで強かったのですが、源はイギリス・スコットランド・アイルランドあたりの近代の伝統から来たものではないかと思います。私が織を始めた時は既に8枚綜絖は主流、アメリカ・カナダではコンピューター制御の16枚もかなり出回っていたのですが、本となると英語圏ではまだ4枚から入るものが圧倒的に多かった気がします。それ以上となると”More than Four"などという表現も使いました。

背景はさておき、実践編。
通しの柄は何でも良いのですが、今朝は直線とM形を使いました。例によってリピート毎に空行を入れましたので、2リピートと、柄を左右対称にするための最後に一本最初と同じ1枚目に入れたものをご覧いただいています。通す時は空行は無視して続けて通してください。ここで注目は綜絖の1から4枚目は直線、(そしてそれが折り返すところがV型)、5から8枚目にはM型の二種類の綾(Twill)で通したことです。
単純に2:2で織っていくと、4枚でも織れる柄ができます。せっかく苦労して通したのに。
ところが1-4を1:3、5-8を3:1で上げていくと主に経糸色の部分、主に緯糸色の部分のストライプとなり、これは4枚だけでは簡単には織れないものに生まれ変わります。
さらに上げる順番、タイアップなどを変えていくとあらあら、良いでしょう!

伝統から抜けて5枚+3枚ですとか、2枚+3枚+3枚などブロックの分け方にも可能性はいろいろありますし、通し方、タイアップ、糸の色などに変化をつけると一見複雑に見える柄を容易に作ることができます。

どうぞお試しください。

2014年11月13日木曜日

8枚綜絖 ドラフト

もう一つ私の好きな簡単ドラフト応用法を見てください。私はスカーフやショールにはゆらゆら流れるような柄が好きなんですが、これも簡単に作れます。

たとえば次のような基本的なドラフトを作ったとします。今日は通しの1リピートを9本としましょう。赤い部分です。
これを綜絖で一枚とか三枚とかづつ後ろ(あるいは前)に動かしてい行きます。右が一枚づつ、左が三枚の例です。
少し変化がついてきましたね。このままでも構わないし、更に上げる綜絖の順もずらしていくことができます。上半分は一段階づつ、下は三段階づつずらしてみました。
いかがでしょう。この右上などは私が好きでよく使うスタイルのドラフトです。動きに合わせて糸の色を変えていっても面白いです。

今日は山型の通しと一方向の直線の上げ方で遊んでみましたが、これを反対にしたり、両方を直線、あるいは山型、谷型、MやWなどにすることもできます。

一つ大事なのは、特に直線以外を使った場合、フロート(一本の経糸が何本の緯糸の上を通過するか、あるいは一本緯糸が何本の経糸を通過するか、)の長さをチェックすることです。顔のすぐ近くに巻くスカーフに長いフロートがあるとイヤリングが絡んだりしますが、これも本数・長さだけでなく、糸の形態、細さ、密度、縮絨後の布の性質、(ウールは多少フエルト化しますが綿・絹は糸の形態によて結果が異る)も関係します。

お楽しみいただけましたか?

8枚綜絖 ドラフト

二年前に載せたものです。

8枚綜絖ドラフト

今日は母とスカイプでドラフトの話をしました。去年の三月に、風に乗る桜の花びらのドラフトを私が作り、経糸を通し、母が知人にお礼のスカーフを織ったのですが、今日はこのドラフトの再利用を検討しました。

そこでドラフトをもう一度。
ここでは経糸の通し1リピート、緯糸4リピートをご覧いただいています。(緯糸は見やすいように1リピート毎に空行を入れました。織るときは無視して続けております。)このドラフト、例えば少しだけ幅の広いものを織りたい時、もちろん少し太い経糸を使うこともできますが、意外に簡単にドラフトを変えることもできます。通しと柄を見ていくと少しだけ表現が変わるところがお分かりになりますか?
線より右の部分をもう一度左端に繰り返しても、柄が繋がっていきます。(経糸も1リピートの後に空行を入れました。通す時も蒸して続けて通します。)
足す部分が柄の中央にある場合もあれば、右のものを左にコピーしたい場合もありますし、リピートのどこかを省略して巾を狭めたい場合もあると思います。途中で表情が変わらないものでも、同じように気軽に変えられます。

この手法は再利用する部分を選ぶ際、あるいは繋ぎ目など、試行錯誤で紙のドラフトを切り貼りして目で見て確かめたい場合もありますが、通しの1リピートが長いドラフトでも気軽に目的に合わせて応用できるので、是非お試しください。

* * * * *

2011年にドラフトについて何遍かポストしました。辞書通りに極力日本語の織用語を探して書いたのですが、やはり日本の織は一筋縄ではいかない事例を何件か読んでから、それらのポストを一年ちょっと前引っ込めてしまいました。たとえば日本では綾織は単純にtwillという組織名ではなく、従来は2:1の割合だと読みました。ということでもっとお勉強をしなければいけないので、近々見直して載せなおしたいと考えています。間違え等お気づきの際は是非々々ご指南ください。

2014年11月5日水曜日

洗うとこんなで。。。

今回はかなり長く洗ったのでブークレがもさもさに。綾の模様があまり見えませんが、房はかわいい。
こちらはきちんと長ければなかなか良いものになったのですが、洋裁をする知人がさっさとお買い上げくださいました。どうもありがとう。

2014年11月2日日曜日

残念賞

洗って乾かして121cm+フリンジです。くしゃくしゃなのは今朝主人がずっとしていたからです。26番手二本どりを通常15本/インチ(6/cm)で織るんですが、細かい柄の時は18本(7/cm)入れますと、ホンワカというよりしっとりした「きれ」ができます。縦はすべてカシミア100%、横は白の絹・カシミアで艶があるので、特に縦が白いほうに柄が浮き出て気に入っています。でも暫くカシミアの経糸で無理矢理柄を作るのはお預け。
通し間違えも直して無難なものを織っています。こちらはホンワカになります。でもドラフトはいずれウールで再現したいと思います。

2014年11月1日土曜日

頑張っていますが。。。

Jack機にカウンターを付けました。ぽーっとラジオやオーディオブックを聞いていると織るより段数を数えていることのほうが多いので。。。
お悔やみにと思って織っていたのですが、やはりカシミアの経糸は弱く、半年以上苦労して一日15cm位織ったり、10cmの時もあったり、全く放っておいたりした末、127cmであきらめて昨日切り落としました。でも私なら何とか使えるかな。
経糸をJackに移して気を取り直して織り始めたら、通しの間違えが。やれやれ。
大きいほうにはプリーツを作るためのウールを。こちらは4年だか5年越しのプレゼントです。遅さではだれにも負けません。