Monday, December 22, 2014

縦糸密度(Sett)について

筬の目に経糸を一本づつ入れていく場合は筬密度と同じことになりますが、そうでない場合もありますのでここでは縦糸密度としましょう。英語ではtが二つのsettと呼びます。

アメリカ以外ではメートル法で1cmまたは10cmに経糸が何本と表示するのが基本のようですが、a)英語圏では比較的最近までヤード・ポンド法(またはインペリアル法)も使っていた、b)出版物は過去にはアメリカのものが国際的に出回ることが多かった、または英語に翻訳する時点で換算された、c)ショッピングを含めてインターネットの普及はアメリカが早かったので、当初ネットで購入できる筬はヤード・ポンド法で表示されていた、といった理由で英語圏では布の幅と縦糸密度をインチで、長さをセンチ・メートルで表現する作家が大勢います。私もその一人です。

DPIはdents per inchで1インチの筬目の数を示す筬密度、EPIはends per inchで1インチに経糸(warp ends)を何本入れるかを示す縦糸密度です。私の大きい機はほぼ恒久的に6DPIの筬が付いていて、綿の20番双糸は36EPIか42EPI、メリノの18番双糸は18EPI、カシミアの26番双糸は12EPI、15EPI、18EPI と目的ごとに変えて織ります。換算の目安は、インチ表示のほぼ2/5の数値が1cmの縦糸密度、ほぼ4倍が10cmの縦糸密度です。

Interweave社はあらゆる糸の平均的な経糸密度を本にして売ってもいますが、密度は比較的簡単に割り出せるものですのでここでご説明します。
物差し又は硬い紙などに1-5cmの目盛りを書いたものに、経糸に使いたい糸を巻きます。どれ位しっかり又はゆっくり巻くかが鍵となるので、落ち着いて同じ調子で、両隣にぴったりくっ付いて並ぶけれど も窮屈でないよう心掛けてください。

細い糸なら2cm度、太い糸なら3cm~5cm程度巻くと、巻き方が少し不均等でも平均値が出ますので安心です。また写真のように太さが不均等な糸も長めに巻くと平均値が使えます。面倒でなければ長めに巻くことお勧めします。

XcmでY周したらY/Xが1cmあたり何周するかわかります。これをQとしましょう。上の例では2cmで11本、Qは5.5、私にとっては1インチでほぼ12周、Qは12です。

平織は一番頻繁に縦糸と緯糸が交差しますので縦糸密度の一番ゆるい織、基本はQ/2で、この例では1cmに2.5本、もしくは10cmに24本あたりでしょう。私は6EPIから試織します。綾織 (twill) の基本は2:2の綾 (2本上がって2本下がる)でQの2/3ですが、綾の割合が大きくなるにつれ、(例えば3:5)、 交差する頻度が減るので縦糸密度を高くします。上の例では単純に計算するだけですと、2/2なら1cmに3本位、もしくは10cmで32本位、私は8EPI位から試織です。

ところが、ここからが個性の出しどころなんです。素材、形状、用途、大きさ、機、組織の種類を考慮に入れて縦糸密度を微妙に変えることにより、個性的なものが織れるんです。最適な縦糸密度を算出するには試織が一番ですが、デザインをする過程で何を作るのか、どういった仕上がりを想定しているかを少し考えるだけでイメージ・アイディアが浮かんでくるはずです。

たとえば縦糸をびっちり詰め緯糸が隠れるように織るラグのスタイルがあります。(経糸を隙々に入れ横糸をしっかり、ばっちり入れるスタイルもあります。)ラグは固いくらいに織らないと何往復もその上を歩くうちに布が崩れてしまう可能性があるからです。Interweave社は前者はQx2、後者はQ/3を基本としています。クッションカバー、袋、服地などあとで加工するものも縦横しっかりと詰めて織った方が長持ちするでしょう。縦糸に比べてかなり太い緯糸を隠したくない場合、ウールなどふっくらする素材で、特に手紬や単糸を緯糸に使う場合、Q/2より隙間を開けた方が軽く仕上がります。

逆の見方もできます。例えばループヤーンを使って厚めの服地を作る場合、ループが邪魔になるから隙間を開けるのではなく、縦横きっちり寄せて織ると立体的な布に出来上がります。

数値は"Handwoven Magazine Presents The Weaver's Companion" (Interweave press, 2001年)から引用しました。

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